<選評> メキシコ女子代表 2-3 日本女子代表

日本女子代表はホームでアウェイゴールも献上せず、2-0で勝っているのだから、ほぼ予選突破は確信していたので、試合を見ていても、あまり逼迫することはなかった。マスコミは厳しい様相を伝えようとしているが、本当は実に簡単な試合であり、ようするに日本女子代表は90分で1点とってしまえばいいのだ。合計スコア4-0にすれば、メキシコは4点取らなければならなくなる。90分で日本に勝つには5点必要になる。メキシコが日本から4点、5点取るのは、退場や誤審などの事故がない限り、現実的ではない。

試合は、立ち上がりからメキシコが攻めてくるのは当たり前で、日本が押し込まれるのは容易に想定できた。むしろ、前半立ち上がり、メキシコから猛攻を受ける10分さえ抑えれば、それで勝ったも同然である。唯一、心配なのは、立ち上がり10分でアウェイの雰囲気に呑まれてしまい、パニックになり、ぽんぽんと2、3失点するケースだけだ。これはミランチャンピオンズリーグなどでよく陥るが、最初の10分間を通常のメンタルで戦えれば、それで勝ったようなものである。

実際、試合は予想通り、日本が攻め込まれ、あぶなっかしい場面は見られたものの、失点はしなかった。逆に日本がワンチャンスを活かして先制した段階で、結果はすべて決まったも同然だった。あとからメキシコが2点、3点取ろうが、もはや焼け石に水である。あの時点で日本のW杯出場は100%決定している。実際、前半に1-2と日本が逆転されても、わたしはまったく動じなかった。なぜならば、もう(出場の)結果は決しているから、なにも心配する必要はない。後半ロスタイムにメキシコが1点取って、1-3になるのでは。というイメージで見ていた。

たしかに前半の日本はセカンドボールをまったく取れず、攻撃のリサイクルを受けていたが、メキシコも最後のフィニッシュやクロスを上げるプレーが雑で、後半になると、日本はボランチ二人を据え、セカンドボールも競るようになったおかげで、メキシコのプレーはますます雑になった。また、メキシコは、サイドに人がいるのにもかかわらず、あまりサイドに散らさず、中央を強引にこじ開けようとするから、日本は助かった。また、攻めあぐねほど疲労を誘うものもない。ボールポゼションは圧倒的にメキシコでも、精神的に追い詰められていたのはメキシコの方だった。

正直、見ていて、「最後、意地見せて1点とって、1-3にして見せろよ。」というメキシコに対する注文すら出てくる余裕さえあった。結局、1-2で日本は試合に敗れたが、合計スコア3-2でW杯出場が決まった。とはいえ、過去ブログで書いたように、すでにホームの2-0で決まっていたも同然だから、さして感動もない。それよりも、本大会をどう戦うのかが気になる。個人技やフィジカルで攻め込まれると、簡単に崩れてしまうDF陣にはテコ入れが必要なようだ。

最後に、メキシコの太陽が降り注ぐ緑映えするピッチは、1986年ワールドカップメキシコ大会を思い起こさせてくれた。やはり、フットボールはナイターではなく、太陽の下で行うのが映像的にも視覚的にも美しい。ぜひ、メキシコでワールドカップをもう一度してほしい。