FIFAクラブワールドカップ バルセロナの準決勝② <戦評>

エトオとメッシが長期離脱、4日前に試合をし、長距離移動、時差ぼけ、日程過密、雨のピッチと、バルセロナに悪い材料はあっても、すでに緒戦をこなしたクラブアメリカに不安材料はない。

普通に戦えば、バルセロナが勝つが、クラブアメリカも悪いチームはない。
一発勝負になれば、強い弱いはあまり関係ないし、試合では何が起こるかわからない。
ワンサイドゲーム以外に、接戦になるのではという試合内容も十分に想定しておいた。
しかし、それは杞憂に終わった。

バルセロナ 4-0 クラブアメリカ

これほどまで点数に差が出るのは意外に思えたが、当然といえば当然か。エキシビジョンの要素が強いとはいえ、正直、これほどまでに相手(クラブアメリカ)の印象が薄い試合も珍しい。

クラブアメリカバルセロナと戦う以上、あのように相手にスペースを与えてしまってはどうしようもない。チェルシーのようにスペースを与えず、地味でもファウルでも相手の長所を消し、チェイスを仕掛けなければ、バルセロナの独壇場になる。特にバルセロナからボールを奪うのは(アーセナルでも)かなり難しい。とはいえ、これが相場だといえば相場でもある。

試合も2-0になった段階で勝負あった。それ以降は鑑賞試合になった。

いまさらであるが、バルセロナのフィールド上の11人が常に連動していた。
ボールを持つ1人のために、ボールを持たない10人がフォロー、サポートするように動いてあげる。まるでバスケットを見ているかのようで(日本代表はこういうところをもっと学ばなければならないだろう。「走る、動く、考える」とはこういうことだというお手本のようだった)、とにかく11人全員のイメージ、認識、理解が共有されていた。そういう意味では全員が中田英寿のような脳回転を標準装備しているといっていい。

そして、改めて思ったのは、バルセロナの華麗さや芸術性の土台になっているのは「激しさ」にあるということ。派手で華麗な分、意外と見逃しやすいのだが、ブラジル代表同様、詰めるところは激しく行き、果敢にボールを奪いに行く姿勢は、無名もスターも関係ない、普通のフットボーラーの姿である。

しかし、長距離移動、時差ぼけ、日程過密、雨のピッチがまったくハンデにもならなかったのはさすがといえよう。次の決勝の相手となるインテルナシオナルは激しく当たりをぶつけてくるだけに、バルセロナもやりにくい相手である。見る側からすれば、鑑賞するというよりも勝負という観点で見ると面白いかもしれない。


*なお、今夜、チャンピオンズリーグ決勝トーナメントの組み合わせだが、バルセロナがどこと当たるかにも注目がいく。