本当にワールドカップチケットは余っているのか?

「余りチケット」「売れ残り」

趨勢でマスコミが使うこの表現には、さすがに閉口させられる。
チケットに興味のない人、事情を何も知らない人がこれを見聞きしたら、
「なんだ、ワールドカップって人気ないんだ」「売れてないんだ」
おそらくはそのような印象を抱き、記事をそのまま鵜呑みにしてしまう。

去年から長々とチケット戦線に参加してきた者から見たら、なにを言っているのだといいたくもなる。
実際のところ、マスコミの使う「あまりチケット」「売れ残り」などいう言葉は、あきらかな誤りであり、あくまでFIFAの未放出分の「未販売分」でしかない。

その内幕を簡単にアナウンスすると、FIFAは一般販売へは割り当て枚数を絞り、身内の関係者・スポンサーに優先的に大枚のチケットを割り当てている結果でしかない。そもそも一般客に大きな需要があるにもかかわらず、需要がないところにわざわざシェアしていたチケットを「余り」といえようか。
たとえば、空腹の人のところへ食事を持っていかず、満腹の人のところへ食事を持っていっているようなもので、それで料理が余ってますとお笑い種である。
これでは日本の無駄遣い財政の構造となんら変わりはない。

今大会以前もそうだったが、結局、FIFAの体質が同じであるから、なにも変わらない。
おそらくは信じられない枚数が未発売としてプール(保留)されているはずである。それがFIFA内部の調整をへて、ようやく、今ごろになってぼろぼろ市場へと出てくるだけである。

とはいえ、FIFAの脆弱な販売システムのおかげで、今、チケットを確保できている人がいるのであれば、それもまたよしとしなければならないのか。

とはいえ、あのマスコミの報道の仕方には、閉口させられる。
大会が始まれば、当然、スタジアムには空席も出るだろう。そうなれば、FIFAの販売体質のしがらみが生む空席を何も知らず、空席イコール売れ残りという日本の常識でもって、マスコミは報道してしまうだろう。ゆえに、事実は本質からどんどん遠ざかっては逃げていってしまう。

情報を受け取る側がきちんとした受け皿を持っていないと、事実が事実でなくなってしまう。
危ない時代でもある。